◆青色に染まる幻想的な「ネモフィラハーモニー」
春に行きたい絶景スポットベスト10の常連で、米国CNNの「日本の最も美しい場所31選」にも選ばれた、首都圏からも日帰りで楽しめるスポットとして人気の高い、茨城県ひたちなか市の「国営ひたち海浜公園」。総面積350ha、開園面積約200haという広大な園内には、随所に花畑があり、春夏秋冬通じてさまざまな花が楽しめる。中でも5月の大型連休に見ごろを迎えるネモフィラは、一面に広がる幻想的なブルーの世界を楽しみたいと例年多くの観光客が訪れ、連休中は周辺道路に“ネモフィラ渋滞”が起こるほどになっている。今年は例年よりネモフィラの開花が早く、見ごろは4月下旬までとのことなので、連休前の4月17日にネモフィラを見るためにひたち海浜公園を訪れた。
東京方面からの公共交通機関はJR常磐線の特急や、高速バスが運行されているが、今回効率よく見学できるバスツアーをチョイス。公園散策の時間が長く、他の立ち寄り場所も少ない、【四季の旅】「ひたち海浜公園ネモフィラツアー」に参加した。当日はあいにくの曇り空だったが、平日にも関わらず大型バス2台分は満席。高速道路は順調で、新宿から2時間ほどでひたち海浜公園に到着した。
公園のゲートは4か所あるが、ネモフィラの咲く「みはらしの丘」は西口・翼のゲートが一番近い。水のステージ&西池を見ながら歩いていくと15分足らずで、みはらしの丘に到着する。途中には約500品種100万本が植えられた「スイセンガーデン」があり、見ごろは4月中旬までとのことだが、まだ十分に楽しめた。
みはらしの丘につくと、可愛らしい黄色のナノハナとネモフィラの青い丘が目の前に広がる。青空のもとで青の世界を楽しみたかったがあいにくの曇り空。雨は降らなかったものの重い雲が立ち込めている。それでも初めて見た約450万本もの見事なネモフィラには目を奪われる。
平日にも関わらず、「ネモフィラの数よりお客さんの数の方が多いのでは」と添乗員さんが冗談を飛ばすほど多くの人が訪れていた。ネモフィラを見ながらゆっくりと丘を登る。通路の幅は広く、車いすやベビーカーの観光客も多く見かけた。みはらしの丘は標高58mで、ひたちなか市の最高地点だとか。太平洋岸に位置しているので、丘の上からは海が臨める。晴天だったら、ネモフィラと空と海の三つ巴の青の世界「ネモフィラハーモニー」は見事だろうなと思いつつ、来年こそ晴天の日に訪れようと再訪を誓う。
ネモフィラのあるみはらしの丘は、最低でも1時間ほどかけてゆっくりと回りたいコース。丘のふもとから見上げる光景、丘の途中から見る光景、丘の上から見下ろす光景とそれぞれ異なる色合いに見えるので、いろいろな位置から写真に収めたい。印象としては下から見上げる風景が、一番ブルーが美しく見えるような気がした。
◆訪れる季節ごとにさまざまな風景が見られる花の楽園
次に向かったのは、西口エリアの「たまごの森 フラワーガーデン」。訪れた日は、約240品種約25万本のチューリップが見ごろを迎えていた。赤、黄、オレンジ、ピンク、紫、白と色とりどりのチューリップは、鮮やかでとても可愛らしく、思わず声を上げてしまうほど気分も上がる。チューリップに関しても、今年は1週間ほど早く見ごろを迎えており、大型連休中は開花が終わっている可能性もあるとのことなので、花情報については、公式サイトで最新情報の確認を。
ネモフィラシーズンの後に楽しみなのが、茨城県の県花でもあるバラ。「常陸ローズガーデン」では、約120品種3400本のバラが植栽されており、品種によって5月中旬から6月上旬にかけての初夏、10月下旬から11月上旬にかけての晩秋に楽しめる。また、みはらしの丘では、夏はコキアの緑葉、秋はコキアの紅葉となり、ネモフィラの青からコキアの緑、赤の世界へと変化する。
園内には約8haの芝生広場がありピクニックやボール遊びもでき、バーベキュー広場(要予約)、林間アスレチック広場、ファミリーパークゴルフ、アトラクションが並ぶプレジャーガーデンなど、花を見るだけでなく遊びやスポーツが楽しめる。
広大な園内を約40分で1周する、園内10か所で乗り降り自由の「シーサイドトレイン」(1日周遊・500円)があり、園全体を回りたいときに便利。さらに園内には総延長約11㎞のサイクリング専用コースがあり、レンタルサイクル(15歳以上・3時間400円、中学生以下3時間250円、延長可能)で園内を周遊するのも面白い。持ち込み自転車は無料でコースを利用できる。
【AJの読み】もう少しアクセスが良かったら……
ネモフィラが咲くみはらしの丘は、某アメコミに登場する青い花が咲き乱れる惑星に似ていると聞いて興味を持ち、出不精の自分が今年こそはと重い腰を上げて出かけたのだが、快晴に恵まれればさらに鮮やかな青の世界が楽しめたのだろうな、と天気だけが少し残念だった。とはいえ、海原にいるような錯覚を起こすほど、一面に広がる青の世界は想像していた以上に感動!来年もまた行きたいと思う素晴らしい風景だった。大人450円、2日通し券500円、年間パスポート4500円(団体料金、シルバー料金あり、中学生以下は無料)と国営なので入園料もリーズナブル。ネモフィラのシーズン以外でも家族そろって楽しめる場所で、天気の様子を見ながら思い立った日に出かけるというパターンなら、車で行くのがベストか。ただし、ピークシーズンの週末や大型連休中は渋滞と駐車場確保で時間が読めないため、出来る限り公共のアクセスを使った方がよさそう。
茨城交通の東京からの直行バスは約2時間、JRの場合、上野から最寄り駅の勝田までは特急で約85分、駅から公園まではバス、タクシーで約15分。直行バスは本数が少ないうえ予約制ではないので、時間をかけて見学したいときには不安があり、駅からの乗り継ぎが面倒でも特急か、今回のような旅行会社企画のバスツアーが行きやすい。ただしバスツアーでも渋滞に遭うと倍近くの時間がかかることもあるそうで、こちらも時期によっては現地滞在時間が短くなる可能性も。アクセスがもう少し良ければ頻繁に訪れたいところなのだが……。
ネモフィラ見学の後は、ひたち海浜公園から車で20分ほどの場所にある、茨城最大の漁港「那珂湊おさかな市場」に立ち寄るのもおすすめ。新鮮な魚貝類の販売、寿司や和食といった海鮮料理の食事処が軒を連ねている。茨城を代表するあんこうなど珍しい魚もあり、見るだけでも楽しい。値段も東京で買うよりもお得なので、持ち帰る余裕があればぜひ。
このツアーの詳細はコチラ
ひたち海浜公園ネモフィラツアー
(2018年は終了いたしました。2019年にご期待ください!)
この記事を書いた人
阿部 純子(小学館@DIME著者)